受賞者ニュース

“囲炉端”住宅 優秀賞
秋山さん・高橋さん・谷田部さん 住まいのコンペで

2016年2月

 建築を志す学生たちを対象に長谷工コーポレーションが募集した第9回「住まいのデザインコンペティション」で、大学院建築都市環境学専攻の秋山怜央さん、高橋沙織さん、谷田部貴久さん(いずれも修士1年・遠藤政樹研究室)の3人が共同で高齢者用集合住宅「囲炉端会議」を提案し、優秀賞(賞金50万円)を獲得した。表彰式は昨年12月19日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で行われた。
 課題は、都心の緩やかな勾配の敷地に30戸の高齢者用住宅を想定する「100歳の集合住宅」。
 秋山さんたちは、いつの時代にも人々を温かく結び付けてきた囲炉裏端に着目。囲炉裏を介して新たなコミュニティーやアクティビティーが生まれる集合住宅を構想した。
 自分の時間が増えたお年寄りは、趣味に費やす時間も増える。異なる趣味嗜好の人たちの多様性を許容する空間が囲炉裏だ。高齢者が集まって暮らすことの豊かさを、集合住宅の形に再構築した。
 住戸は四角錐の尖端を切ったような姿で連なる。内の道をたどると部屋の囲炉裏が少しのぞける。ある戸の囲炉裏で時を共有し、別の囲炉裏へ――。
 全国の作品が集まる中、アイデアをどう魅力的にアピールするか。高齢化社会に「建築的発想」でどう答えを出すか。3人が重ねた工夫は実り、最優秀賞に続く優秀賞3点のうちに選ばれた。
 講評で、審査委員長の隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所代表・東大教授・東京五輪へ新国立競技場案を設計)は「空間に対して細部まで創造力が行き渡っていた。100歳という時間を抽象的にとらえるだけではなく、具体的な時間・空間としてとらえていた」。
 審査員の乾久美子氏(東京藝大准教授)は「この囲炉裏はどの世代も許容させることができると感じるプレゼンテーションがよかった」。他の審査員からも「煙突とも何ともいえない急勾配の屋根の形で形成される街並みが気に入った」と好評価が続いた。
 受賞者たちは「名誉ある賞をいただいて大変うれしく思っています。これに満足せず、今後も頑張っていきたい」と語った。(CITニュースより)