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今村研が再現2模型〜“フォスター名建築展”に

2016年2月1日

東京・六本木の森美術館で年初から2月14日まで開催された「フォスター+パートナーズ展」に、建築都市環境学科・今村創平准教授の研究室の学生が制作した作品が展示され、注目を集めた。
 「フォスター+パートナーズ」はハイテク建築の分野で世界的な評価を受け、「モダニズムのモーツァルト」と呼ばれるイギリスの建築家、ノーマン・フォスター(80)が率いる国際的建築設計組織。「ガーキン」(ピクルスにするキュウリ)の愛称でロンドン市民に親しまれている「スイス・リ本社ビル」や、東西ドイツ統合の象徴「ドイツ連邦議会新議事堂・ライヒスターク」など、数多くの現代建築史上の名作を生み出している。
 「都市と建築のイノベーション」というタイトルが付いた今回の展覧会は日本初の開催。フォスター+パートナーズの設計活動を代表する50のプロジェクトを、イギリスから運ばれた模型やCGなどの膨大な資料で紹介した。その中には現在進行中のアップルの新本社や、3Dプリンターで制作する未来の月面住宅などのプロジェクトも含まれていた。
 六本木ヒルズ森タワー52階の展覧会場入り口を入ってすぐの“特等席”に展示された今村研の作品は「オートノマス・ハウス」=写真右=と「ウィリス・フェーバー・デュマス本社」=下の2枚=の2つの模型。
 二重の網目状の球体が特徴のオートノマス・ハウスは住宅として設計されたもので、若き日のフォスターが強い影響を受けたアメリカの発明家で思想家のバックミンスター・フラーと共同で設計。「建築は軽やかさと自然の光の芸術である」というフォスターの哲学を具現化した原点とも言える作品だが、フラーの死により実際に建築されることはなかった。また、設計図なども一切なかったため、今村研ではわずかに残っていた数枚の写真を基に、多田脩二准教授のアドバイスも得ながら再現した。
 ウィリス・フェーバー・デュマス本社は1970年代に建てられた保険会社の建物で、フォスターが初期にその哲学をどのように作品に反映したかを知ることができる。外装は波打つようなガラスの曲面で覆われ、内部はエスカレーターで結ばれた床が積層されて人々が自由に動き回れる構成のこのビルを、今村研ではアクリルを使って再現した。家具や内部で働く大勢の人たちも、一人一人紙で手づくりしたという。
 制作は昨年7月から12月まで半年がかり。今村准教授は「フォスターの哲学を理解するところから、作品の意図を翻訳し、模型として制作工程を考え、チームとして完成させることができた。さらにそれを大勢の人に見てもらったという経験は学生にとってとても刺激的で貴重だったと思います」と話している。