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安藤忠雄氏が本学で講演〜夢かけて走れ〜

2018年12月10日

建築家の安藤忠雄氏が昨年12月10日、本学で「夢かけて走れ」と題して講演。会場の津田沼キャンパス2号館3階大教室は、詰めかけた約700人の学生や教職員で超満員となった。安藤氏は学生諸君を「青いりんご」に例えて、「熟れたらおしまい。今こそ勉強する時です。独立自尊の精神で一心不乱に走り続けて」と熱く語りかけた。

 安藤氏の建築作品は、国内はもとよりアメリカやヨーロッパ各国、中国、韓国から中近東まで世界中で高い評価を得ている。

 安藤作品の特徴は「コンクリート、光と影、そして自然との共生」と言われている。無機物と有機物との対話を試みる氏独特の手法が、海外では日本の伝統や禅などの文化と結びつけられ、奥深い思想を暗示させて高い評価に結びついている。
 獲得した内外からの栄誉は数知れない。日本建築学会賞を皮切りに、日本芸術院賞、高松宮殿下記念世界文化賞、文化勲章、海外からはプリツカー賞、UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル、フランス芸術文化勲章コマンドゥール……。
 1997年から2003年まで東京大工学部建築学科教授を務め、03年より名誉教授。アメリカではイエール大、コロンビア大、ハーバード大で客員教授を務めた。
 しかし、安藤氏自身は、大学の教育も建築の専門教育も受けたことがない。建築士試験には独学で挑み、それぞれ1回でパスした。

 講演で安藤氏は大阪の下町に生まれ、経済的な事情で大学に進学できなかった少年時代のさまざまなエピソードや、20歳代での2度の世界放浪、建築士試験のための猛勉強、そして60歳代後半と70歳代になってからの2度の大病で5つの臓器を摘出した経験などを、ときにユーモアを交えながら話し、会場が笑いに包まれる場面も。
 講演の後半は、佐治敬三、樋口廣太郎、稲盛和夫、福武總一郎氏ら国内外の各界のリーダーたちとの交流が、自分の作品と深く関わっているとして、作品を紹介しながら、「自分が強い思いを発すれば、全く縁がなくても必ず反応してくれる人がいる」と訴えた。
 そして「人生に決まった道はない。これからは“人生100年”の時代。学部や大学院を出たから勉強は終わりではない。“千葉工大の学生はいいぞ。生涯勉強する基礎を身に着けている”と言われるようになってほしい」とエールを送った。
(CITニュースより)