小峯裕己研究室


小峯 裕己教授

温熱・空気環境学

 ちょうちくきょという住宅をご存じですか?京都帝国大学建築学科教授であった藤井厚二氏が、ウィスキー醸造所で有名な京都府大山崎町に建てた実験住宅で、環境配慮建築の歴史の中で忘れてはならない昭和初期のものです。藤井氏は、夏期の暑さを和らげるため、通風の促進、床下冷気の導入や日射の遮蔽などの工夫を施しましたが、現代のパッシブ建築の技法でも採用されている技術手法です。。
 ところで、人間が一生涯で体内に取り入れる物質を重量で比較した場合、食べ物や飲み物が7~8%程度であるのに対して、室内空気は57%も占めています。また、冷房をしていない室内で熱中症を発症したり、冬期の寒い浴室で熱い湯に浸かった場合に高齢者が急死するリスクが高い事が判っています。人々の健康や快適性に大きな影響を及ぼしている室内の空気清浄度や温湿度は、温熱・空気環境で取り扱う物理的要素です。
 私の研究室では、通風や換気を促進したり、日射熱の侵入を出来るだけ少なくする、室内外の熱通過を少なくする建物の工夫、並びに空調設備や換気設備の性能評価、機器改良に関する研究を行っています。

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環境に配慮した学校施設の計画・設計に関する研究

文部科学省国立教育政策研究所文教施設研究センター(略称・NIER)に設置された研究会や東京近郊のK市における委員会における調査研究等、環境に配慮した学校施設、いわゆるエクスクールに関して、20年近く調査研究を行っています。エコスクールで用いられる要素技術に関して、不明な事柄、明らかにすべき事柄を実測、実験やシミュレーションにより解明しています。東京近傍のK市では、学校施設のエコ改修(環境に配慮した改修)モデルの一例として、日射熱の侵入を遮断するために、外付けブラインドを設置しました。しかし、公表されている技術資料が乏しく、更なる整備が必要です。そこで、実大模型実験やRadianceと呼ぶ照度推定シミュレーションに基づいて、スラット角度、太陽高度や方位角の違いによる日射遮蔽係数や教室内照度分布の差異を明らかにしています。

ナイトパージの計画・設計に関する研究

夏期、日中と比べて温度が下がった夜間の外気を積極的に導入することにより、室内に溜まった熱気を排出すると共に、建物自体を冷却する手法をナイトパージと呼びます。NIERの報告書などでも、学校施設のエコ改修に積極的に採用するよう記述しましたが、外気温の上限値、必要とする開口部の面積、開口部間の高さの差など、実際の設計で必要とする技術資料が整備されていません。そこで、実測やNETSと呼ぶ熱-換気回路網計算プログラムを用いたシミュレーションにより、これら技術資料を整備するための基礎的な研究を行っています。

室内におい・かおり環境に関する研究

かっての室内空気環境に関する研究は、シックハウス症候群に対する法的な対応(24時間機械換気の設置義務、ホルムアルデヒド発散建材に対する規制)で判るように空気汚染の防止が主でしたが、最近では、積極的に良好な空気環境を創造し、快適な生活環境を作り出すことが着目されています。そこで、新築住宅における不快なにおい、いわゆる、新築臭を防止すると共に、木精油等の良い香りに包まれた健康的で快適な室内香り環境を形成するために必要不可欠な、新築時のにおい環境に対する計画・設計体系を構築するために必要とする技術資料を実験室実験や被験者実験に基づいて、整備しています。

消・脱臭機能を謳った空気清浄の
性能試験方法に関する研究

においを感じるメカニズム、においの測定及び評価方法、においの低減方法等、多くの方々に必ずしも理解されていない事ことが多いため、また、適切な情報が不足しているため、一部の生活用品や家電製品では、におい・かおりに対する消・脱臭機能が充分に確証されていないるものが市販されています。そこで、消脱臭機能をカタログ等に記載している家電製品(例:家庭用空気清浄機、除湿器、エアコン等)を対象として、実験室実験に基づいて、においに関する性能の試験・評価方法を検討しています。